オーパルカードについて

2015.10.9


 オーパルカード。シドニー近郊で用いられてきている鉄道バスフェリー用ICカードである。観光客にはこれがあれば充分。間違いありません。
 あろうことか、まだ自身も持っていません。そのため、得なのか損なのか、検証しようと思い書いてみた次第です。トライアル面は否めませんから、記載内容が現状または将来と合致しない可能性があることをあらかじめご理解ください。

◎発音

 オーパルです。オパールではありません。「る」を切って発声したほうが分かりやすいです。「オーパ!」で大丈夫。厳密には、オゥパル(二重母音)。

◎背景

 なぜ、ICカード化が進んだのか。その背景には劇的な人口増があげられます。狭義のシドニー(市町村レベル)と、広域のシドニー(都道府県的なレベル)がありますが、都道府県的なシドニーという意味では、300万人から400万人にまで膨れ上がっています。そのため、公共交通機関の利用者もうなぎのぼり。かつてはバスの運転手や鉄道の駅窓口などで現金で切符を買えたのですが、あまりにも利用者が増えすぎた結果、現金対応によるバスの遅延が常態化して問題になりました。客扱いに10分以上かかり、同じ路線・同じ区分(快速急行等)の2本あとのバスに抜かれる、などというようなことも日常茶飯事でした。
 2009年から、バスが基幹交通である北東部の路線において、一部の通勤バス(快速特急、快速急行)を、現金利用客には利用できないように改めました。その結果、慢性化していた遅延が解消に向かい、その後は現金を取り扱わないバス、現金を取り扱わない時間帯がだんだんと増えていきました。年に数度は、バスドライバーが数人組の暴漢に襲われ、運転席の現金を奪われたというようなニュースも出る国ですから、現金を扱わないということは運転手の安心を担保することにもなります。そしてついに2014年11月、シドニー&ニューキャッスル周辺の電車、フェリー、バスはすべてICカード対応となりました。そのことを受けて、2016年1月1日より、現金の取り扱いをやめることとなりました。

◎購入

 コンビニ(セブンイレブンなど)、ニュースエージェンシーなどで虹色のわっかのマークがあるところで取り扱っています。上でも述べましたが、バスの運転手が襲われる国です。きっぷの自動券売機ごと盗まれたという事件も結構あります。そのため、駅そのものではオーパルカードを購入することはできません。駅の近くのコンビニで購入してください。チャージもよほど大きな駅でない限り、できません。コンビニでチャージしてください。


(国際線空港駅にあるチャージ機。防犯のため、現金は扱っていません。クレジットカードで暗証番号を入れてチャージしてください。なお、クレジットカードでの最低チャージ金額は40ドルです。)


(ニュースエージェンシー、シドニー国際空港国際線ターミナル1階。オーパルカードのほか、本、雑誌、新聞、食料品、飲料などが手に入ります。現金チャージは10ドル、20ドル、40ドル、50ドルなど、30ドル以外の10ドル単位で可能です。)

◎利用

 (電車)改札口でタップオンし、改札口でタップオフします。
 (バス)乗車時に前の機械でタップオンし、降車時はバス前後どちらかの機械でタップオフします。
 (フェリー)マンリー路線は、乗船時のみタップします。その他の路線では、乗降時どちらもタップします。
 (ライトレール)乗車前までに駅でタップオンします。検札が来るので、そのタップしたカードを検札員が持っている機械にかざします。降車時にタップオフします。

◎路線図(一部)



◎運賃

 オーパルカードの1週間の規定は、月曜日の午前4時から、翌月曜日の午前4時までが1週間になっています。

○空港特例

 いきなりで申し訳ないのですが、図の右下の空港線(central=green square=mascot=domestic=international=wolli creek)の区間は私鉄になります。私鉄の利用区間については以下の加算運賃が適用になっています。

1回の利用:13ドル
1週間上限:23ドル



 (ケース1)火曜日に空港について、3日後の金曜日にまた空港にいく場合、火曜日には13ドルが引かれます。金曜日には10ドルが引かれます(23ドルが上限のため)。
 (ケース2)ところが、これが金曜日に空港について、4日後の火曜日にまた空港にいく場合、両方とも13ドルが引かれます。なお、加算運賃以外の要素については考慮していません。

○1日上限特例

 1日に電車、フェリー、バス、ライトレールをどれだけ利用しても、上限は15ドルです。この15ドルには、空港の加算運賃は含まれていません。公共交通を乗りまくってから空港に行った場合、15+13=28ドルが引かれる計算になります。

○1週間上限特例

 1週間に電車、フェリー、バス、ライトレールをどれだけ利用しても、上限は60ドルです。この60ドルには、やはり空港の加算運賃は含まれていません。

○日曜日上限特例

 日曜日に電車、フェリー、バス、ライトレールをどれだけ利用しても、上限は2.5ドルです。この2.5ドルには、やはり空港の加算運賃は含まれていません。2.5ドルでブルーマウンテンズまで行って帰ってくる、またはニューキャッスルまで行って帰ってくる、ということが可能です。

○乗り継ぎ特例

 観光客にはあまりなじみがなく、関係がないかもしれませんが、田舎に住んでいるとバスを乗り継ぐ機会が結構あるのです。乗り継ぎのバス停は指定されているし、指定された系統同士の乗り継ぎしか紙のきっぷではできませんでした。ところが、オーパルカードでは、同じ乗り物(バス同士、電車同士、フェリー同士)を乗り継ぐ場合、1時間以内であれば自動的に前後通算されるようになっています。



 (ケース3)マンリーからサーキュラーキーまで行き、そこからパラマタ行きのフェリーに乗り継いでパラマタに行った場合、通常ですとそれぞれ7.18ドルのフェリー代が必要ですが、乗り継ぎ時間が規定範囲であれば合計で7.18ドルで済みます。
 (ケース4)チャッツウッドからバスでワリーウッドに直接行くものは通勤時間帯だけとはいえ運転されてはいるので、紙の切符では運賃通算の対象となりません。ところが、オーパルカードでは乗り継ぎ割引の対象となり、合計で4.5ドルで行けます。
 (ケース4−2)電車でミルソンズポイントからマコーリー大学まで行くときは1本で直通で行けますが、途中ノースシドニーで降りて例えば彼氏とお茶をして、1時間以内に再び乗る場合、運賃は通算されます。しかも、この場合本来は後者はオフピーク割引適用外ですが、旅行起点はオフピーク割引対象時間帯のため、オフピーク割引が適用になります。
 (ケース5)クイーンズクリフからバスでマンリーに行き、フェリーに乗ってサーキュラーキーから改めてバスに乗りボンダイビーチに行った場合、同じ乗り物同士の乗り継ぎはありませんから、規定通りの運賃を支払わなければいけません。

○普通運賃の計算方法

 上図の各区間の運賃は、どのように決まっているのでしょうか。

 フェリーは、9kmまで$5.74です。9kmを越えると$7.18になります。

 バスは、概ね3kmまでが$2.1、概ね8kmまでが$3.5、それ以上は$4.5になります。概ねと書いたのは、厳密にはセクションという区間ごとに分かれて運賃が計算されているためです。観光客は細かいことまで思案する必要はありません。

 ライトレールは、3kmまで$2.1、それ以上は$3.5です。

 電車は、以下の運賃区分になります。

 10kmまで $3.38($2.36)
 20kmまで $4.20($2.94)
 35kmまで $4.82($3.37)
 65kmまで $6.46($4.52)
 65km以上 $8.40($5.81)

 カッコ内の運賃は、オフピーク利用時のものです。乗車時刻が午前7時〜午前9時(観光客が利用しないような郊外の駅は、午前6時〜午前8時)、または、午後4時〜午後6時30分の範囲であれば、カッコ外の運賃(高いほう)が適用されます。午前8時40分に乗って午前9時2分に出場しても、カッコ外の通常運賃になります。逆に、午前6時58分に空港から乗車し、午前7時20分にサーキュラーキーで下車した場合は、カッコ内のオフピーク割引の運賃になります。

○9回目以上は無料特例

 月曜日から起算して、1週間で利用回数が8回に達すると、それ以降の利用は無料となります。



 (ケース6)ワリーウッドからローソンまで毎日通勤した場合、9回目にあたる金曜日の往路から無料になります。
 (ケース7)ワリーウッドからローソンまで毎日通勤するのに加えて、お昼休みに100m先までバスを利用(ローソン=セントラル間)した場合、水曜日の復路から無料になります。1時間おかない限り、1旅行としてカウントされることに注意。ローソンからセントラルまで行って、また戻ってきても乗り継ぎ割引の対象で1乗車にしかなりません。

 ケース6とケース7で7.2ドルの差異が出ます。電車の人ならもっと異なるだろうね。せっかくなので試算してみますか。



 郊外のウォイウォイから通勤している人を考えてみます。

 (ケース8)ウォイウォイからセントラルまで毎日通勤した場合、木曜日で週間上限60ドルに達するため、金曜日の往路から無料になります。
 (ケース9)ウォイウォイからセントラルまで向かう途中、ウィンヤードで降りバスに乗り換えてタウンホールに行き、そこからまた電車でセントラルに行くとどうなるでしょうか。同じ乗り物しか運賃が通算されないことを悪用しています。月曜日は15ドル負担なのは変わらないですが、6回乗ることになります。火曜日には8回乗車になり、それ以降は無料になるため半額になります。
 ※この往路は、郊外規定によりオフピーク割引の対象となりません。


小言。

 オーストラリアではものすごい勢いで物価が上昇しています。空港線の運賃は11年前は9ドルだったのが、もはや15.9ドル。ほぼ毎年、確実に値上げされています。
 しかし、郊外の人からすると、交通費は安くなっています。昔のトラベルパスの時代は1週間定期でバスで郊外に行くものは53ドル、その手前までだと38ドルでした。そこからマイマルチに変わった際、全部をひっくるめて42ドル(現行48ドル)になりました。市内の人は安かったんですが、一気に運賃が引きあがり、郊外の人は値下げにあずかっているという構図ができています。そして、今回のオーパル化で、その傾向にさらに拍車がかかることになりました。
 短い距離の移動が高い!間違いのない事実です。ニューキャッスルまで電車で行ったら片道12.1ドルだったのが、オーパルだとオフピークで5.81ドル。考えられない話です。さらに言えば、日曜日だったら往復でさえ2.5ドルなのですから、信じられない極みです。市内運賃は激増の極みですが、そのメリットを享受している人も間違いなくいるわけです。
◎空港アクセスを考える

 空港に行くのが高いとはよく言われることです。空港→セントラルは15.36ドル(オフピーク時)。13分の乗車時間だから、余計に高く感じるのかもしれません。もしこれを切り詰めたい場合、どのようにすればよいだろうか。

 2014年に行ったのが、セントラル駅からロックデール駅まで電車で行き、そこから400番のバスに乗り換えて空港に向かう、というもの。定期券購入のため支出はありませんでしたが、もしこれをオーパルで行った場合、いくらの負担になるでしょうか。



 答えは6.44ドル(オフピーク)。しかし実際には、もっと安く済む方法があります。ロックデールの1駅手前のバンクシアで降り、そこからバスに乗るという方法です(3)。なんと4.46ドルで済みます。直通より10ドル以上も安い。ただ実際には、(3)の方法を実行するのには問題があります。イラワラ線は快速ばかりのため、バンクシアに停車するものが30分に1本しかありません。そのため、もし1本乗り過ごしてしまうと取り返しがつかなくなる可能性があります。そういう心配がいらないとき、たとえば空港から市内へ向かう、などのときには、400番のバーウッド(Burwood)行きのバスに乗ってバンクシアで降り、そこで乗り換えてセントラルに行けばいいかもしれません。ただ、バスの難易度は高いです。バンクシアなんて誰も降りないバス停で、ピンポイントで下してもらうってのは観光客にはできないと思いますからね。バンクシアから乗ろうと思っても、2014年の実例からいうとロックデールで通勤客で満員となったため、バンクシアは通過してしまいましたし(州の法律で、立ち客は15人までしか認められない)。空港への通勤客って結構いるんですよね。
 詳しい実践内容については2014/10/72014/10/11あたりの雑記にそのあたりの出来事を記載していますので参考になるかもしれない。


 上述の記事を振り返りつつ、極限までシドニー空港へのアクセスを考えてみたい。

・同じ乗り物であれば、運賃は通算される。
・初動に電車を使うと、無条件で16ドル前後かかる。

 この2つの前提条件を踏まえると、初動はバス以外考えられないことになる。そして、バスを乗り継げば、どんなに時間がかかってもお金は4.5ドルで済むはずである。問題は、全部で2時間に及ぶボンダイジャンクション=国内線空港=国際線空港=ロックデール=バーウッド、という路線の、どちら側に出るか。



 まずは空港から西、ロックデールのほうに出て乗り継ぐことを考えてみます。昔の地図を改変してみました。水色が400番のルートで、赤丸が停留所です。400番のバスは「快速」という扱いになってはいますが、それは名目だけであり、ほかの路線との乗り継ぎができないように設計されているのが実態です。赤線を引いたプリンスハイウェイ沿いにはいろんなバスが通っているのですが、わざわざそのバス停を通過する。ちょっと考えられないことだと思いますが、向こうも商売です。厳密にはロックデールの駅で乗り継ぐことはできますが、本数があまりありません。ということで、空港から西に抜けてバスを乗り継ぐというのは困難という結論になります。

 では東のほうはどうだろうか。かつて土地勘がなかったころ、電車でボンダイジャンクションに行き、そこから400番ということをやったものです。確かにそれで行けるのですが、なんとシティから電車+バスで1時間40分かかります。さすがに非現実的でしょう。しかも電車=バスの乗り継ぎですから割引にはならず、今回の考察の対象外ということになります。電車とバスを乗り継ぐなら28分で済むロックデール経由には絶対にかないません。国際線から400番のボンダイジャンクション行きに乗って東に向かうと国内線の停留所があります。その次はボタニー(Botany)という地区です。国内線ターミナルを過ぎて3つ目の停留所(約10分)になりますが、すべて止まるとは限りません。地図を見ながら、あっ、ここだ!と思ったら降りてください。下の地図で、Bと書いてある場所で乗り継ぎます。国内線空港を出て、バスが2回右折したらSTOPボタンを押せばいいと思います。で、止まったところで降りる。バス降車時にきちんとオーパルカードをタップオフし(重要)、停留所を降りてから道路を渡って、反対側の停留所でM20系統の赤いバス(メトロバス)を待つことになります。メトロバスは基本、10〜15分に1本は動いています。400番は、20分に1本の運転になります。このM20のバスはGore Hill行きですが、途中でセントラル、ミュージアム(ハイドパーク付近)、タウンホール、ウィンヤード、ノースシドニー、セントレナーズ(St. Leonard)の各駅を経由します。セントラル、ミュージアム、タウンホールの各駅までは3.5ドル、それより先は4.5ドルになります。




(乗り継ぎの場所)


(旅程全容)

 さらっと書いてますが、相当ハードです。シドニーに500日以上滞在した自身だって自信ない。まして、重い荷物を抱えているとなれば猶更です。ただ、この経路を使い、タウンホールで途中下車してマラソンの事前受付をして、60分以内に北へ向かう路線に乗り継ぐことにより運賃が通算されるため、わずか4.5ドルで空港から事前受付を済ませたうえでモナベールまで行けることになります。これは結構驚異的。モナベールからタウンホールまで4.5ドルでも安いほうですからね(昔は5.8ドルとか6.4ドルとか、それぐらいかかった)。


(国際線空港からタウンホール経由でモナベールまで。2時間53分もあれば、東京から姫路まで行けてしまうかも?)


 なんだか、JR時刻表のピンクのページみたいになっちゃいましたが、検証した甲斐はあったと思っています。
※2015.10.9現在の運賃、路線で記載しています。最新の情報はステートトランジットのホームページにて確認してください。