個人向け国債

新しい商品は、商品性を吟味するのが第一・・・

金融商品を吟味する上で大事な要素。 これを念頭において、個人向け国債の説明を。
もうそこらじゅうで見てるからいい、って人も、まあまあ。

  1. 額面は1万円から。
  2. 募集は郵便局、金融機関、証券会社。
  3. 券面は発行されない。
  4. 利息は変動金利で半年に1度。10年もの固定金利国債から0.8%を引いた額。初回は0.09%。
    ただし、下限0.05%の保証がある。
  5. 中途解約は1年後から。中途解約の際は、過去2回分の利息を返納すれば国が買い取ってくれる。
まず1番目。
1万円以上1万円単位。と、非常に分かりやすい価格設定。
利息には所得税15%と地方税5%がかかる。
1万円分購入した場合、初回(半年後)の利息は5円。

2番目。侮れない。
銀行で買うと、年に1260円の口座管理手数料がかかる。
175万円買えば、初年度の利息は1576円。所得税236円で地方税が78円。
差し引き1262円なので、口座管理手数料を差し引くと、2円。
逆に言えば、175万円以下の金額を銀行で買ったら赤字になるということ。
郵便局では無料。証券会社も無料と思うが、会社によって違うかもしれない。

3番目。
国がバックについているとはいえ、紙切れすらない。
経費節減といえば聞こえはいいが、ペーパー商法より悪質かも。
なんらかの障害が起こった際、無事なのだろうか?

4番目。
基本的に変動金利商品というのは金利上昇には強いが金利低下には弱い。
だが、0.05%の最低金利保証がなされている。
今年になってからの10年もの国債は0.75%〜0.85%と過去最低の水準で推移しており、0.8%を差し引いた0.09%が初回金利とされた。

5番目。
払い出される利息には所得税が取られるが、払い戻しの際の手数料には税金分も払わなければいけない。
100万円分買って1年ジャストで解約した場合、利息の手取額は722円。買い取り請求手数料は900円。
差し引き178円の赤字。



大前提を読み直してみる。
国債っていうのの仕組みは意外と難しいのでとりあえずパス。
2番目のコストから。
郵便局や証券会社で買えば口座管理手数料はかからないから赤字の心配はない。
売り切れたからといって銀行に飛びつくのは不可。
1260円ってコストは、この低金利時代じゃなくても半端じゃないコストです。
それを認識できない人は、少々利回りが高いからってこんな商品に飛びつくべきではない。
預貯金だけで充分。
解約時には赤字になることもあるが、基本的に1年半持てば元本われはない。
額面分だけは必ず保証されている。
そう考えると、コストは安いほうといえようか。

3番目の期間と機動性・流動性。
期間10年っていうのは、馬鹿に出来ません。
2〜3年でやめるけど・・・・って感じで運用するのなら、はじめから2〜3年向けの別の商品を探すほうが賢い。
基本的に緊急時に必要となる資金をこの国債に突っ込むべきではない、ってことを意味している。
自分年金とか子供の進学資金とか、当面使うアテのないお金に限るべきです。
1年は換金できませんが、1年経てば買取してもらえるので、機動性に劣るってわけでもない。
よってこの項目としてみると、期間は少しネックだが他は問題なかろう。って結論になりそう。

4番目。
国が潰れたら終わり。って言うかもしれないけど、国が潰れるとほとんどの金融商品も駄目になります。
よって、円建て商品としては最高ランクに位置することは間違いない。
通常の国債を買った場合、利上げ局面では元本われが生じるものなのだが、この国債の場合、利子には最低保証までついていて、必ず国が元本を払い戻してくれる。
そういう意味では、リスクはかなり低いと見なすべき。

褒めすぎた・・・・かな?
でもこの商品が法人向けに売り出された場合、火のつくように売れ続けるだろう。
それぐらい優秀な商品であることも事実。

でもね、1番目をちょっと思い出して欲しいのです。
国債って面倒くさい商品ですが、簡単にいうと「国が国民から借金をして資金を調達する」商品なんですよね。
もちろん、期限が来たら返してもらわないといけないわけです。
でも、おいらには今の日本政府に、国債を償還しなければいけないもの、国債残高は減らさなければいけないもの、というような考えが見えません。
ギャンブルに狂っていて借金取りに追われている人間に10万円貸してくれって言われても、貸す人はほとんどいないと思います。
ある意味、日本政府はこんな感じじゃない?


そんなわけで、おいらはこの商品はおすすめしないです。
少なくとも余剰資産を全部これに突っ込むってことだけは辞めたほうがいいと思う。
国と心中、なんていまは笑い事で済むかもしれないけど、将来のことは誰にも分かりません。

個人向け国債は、10年もほおっておけるような資産を運用するための商品です。
国内外の金利差、通貨の暴落リスク、インフレリスクなどを考えれば、為替手数料を考えても外貨建て商品のほうがうまくいきそうだし、株式売買手数料を考慮しても株式のほうがよっぽどいざというときに真価を発揮してくれると思います。
もちろん、全部をこれらにしろっていってるんじゃなくて、バランスを考えて3等分ぐらい、あるいは4等分して2・1・1とかの配分にできるといいですね。
註:計算には慎重を期しておりますが、1円単位の丸め誤差で誤っているかも知れません。御海容願います。
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