白紙の小切手


最近、新生銀がらみでバッシングに近い記事を多く見受けるようになりました。
国有化を経て民営化された同胞のあおぞら銀は、別の舞台(ソフトバンクの株式売却)では出ますけど、本業に関する記事はほとんどでない。
瑕疵担保条項もあまり使えず、経営者も日本人だからね。
かたや、外資の傘下ですから、日本人的思想からすれば風当たりがきつくなるのはやむをえないか。

新生銀が融資を回収するために、融資先を潰して瑕疵担保を行使したとか、ダイエーやダイエーOMC向け債権の返済を求めたりとか。
この手の記事は本当に多い。

ちゅーか、結論を先に書くけど、責められるべきは国なのですよ。

長銀、債銀が破綻したとき、再建原資は7兆円でした。
長銀の破たん処理額が出てしまうと、債銀の処理に支障がでると懸念されて、債銀は突然破綻させられたってのは3月21日にかきました。
2行を処理するのに7兆円だから、1行あたり3兆5000億円。
しかし、債務を整理すると、長銀の整理だけで4兆5000億円必要だったようです。
これでは、債銀が処理できません。

そこで、財政難に悩む国はどうしたか。
足りないものは仕方ない。9000億円足りない分を、瑕疵担保という白紙小切手を出して埋め合わせたのです。
この決断は、本当に愚かだったと思います。
瑕疵担保条項っていうのは、要は、不良品があれば定価で買い戻しますよ、っていう契約です。

住専の処理なんかでは、超法規的処理をしたのに、長銀・債銀のときにはしませんでした。
目先の国民損失を押さえるために、2003年2月まで有効な白紙小切手を切ったのです。
しかも、外資の投資会社という、プロ中のプロを相手にです。
大蔵省や金融庁の人間なんて、プロの外資からみればど素人でしょう。
恐らく、譲渡契約が成立したとき、笑いが止まらなかったのではないかと思います。
3兆6千億円と白紙小切手のついた買い物を、たったの10億円で出来たのですから。

白紙小切手に金額を書き込むためには、融資先を潰さなければいけません。
万が一にも、生き延びてもらっては困るんです。
はっきり言って、国内の愚劣な銀行みたいに、債権放棄とかまでして生き延びてもらっても彼らにメリットはないんです。
困るのは、企業が破綻した後に損失補てんをしなければいけない国だけです。
そりゃもちろん、どんどん潰しにかかります。
ドライだと言われようが、潰せば潰すほど利益が転がり込んでくるんだから、笑いが止まらない。
潰れれば、新生銀内では「ホームラン」と呼ばれるようです(夕刊フジの記事や、木村剛氏の記事参照)。
しかも、リップルウッドを通じた買収、あるいは計画倒産みたいな行為が、ライフや第一ホテルの倒産のときにみられました(この話は、機会があれば)。

金融庁が煽っているのかどうか知らないが、マスコミは新生銀の行動を糾弾する記事ばかりです。
新生銀が違法なことをしているのなら責められてしかるべきですが、国との契約に則っている、堂々とした合法行為です。
本当は、プロを相手にとんでもない欠陥契約を結んだ国が責められるべきなのに。
破綻したときに、きちんと債権の内容を把握して、充分に引当金を積んで、損失を確定させておけばこんなに追加損失することはなかったのに。
国民の批判が高まり、目先の国民損失を抑えようとした失策がモロにでているんです。
悪いのはどう考えても新生銀・あおぞら銀、あるいはリップルウッドなどの外資ではなく、国なんです。


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