早すぎた宣戦布告

この騒動は、決して簡単に流されるべきものではない。
もっと、世間に広まって欲しい事例ですね。
どんな意見であれ、モノをいう株主っていうのは、決して無駄ではない。

・東京スタイル、8時間に及ぶ株主総会の末、M&A案を否決

M&Aの提案は、(1)1株500円配当(2)500億円の自社株買い(3)社外取締役2人の選任、でした。
会社側の提案は、(1)1株20円の配当(2)123億円の自社株買い(3)社外取締役2人(上記で提案された人とは別人)の選任。

会社も、M&Aファンド側(村上氏)も、どっちもずれているのです。
が、会社側のほうがずれていることは明らか。

株式会社っていうのは、株を発行して、買ってもらうことで資金を調達しています。
んで利益を上げて、配当という形で一部を株主に還元します。
んで、残りを内部留保して、設備投資とか新事業とかに使って、さらに企業価値を高めていく・・・。

東京スタイルって会社は、どうかしていました。
1株の値段が1000円ほどなのに対し、1株あたりの預貯金・債券・株式など「現金資産」が1200円ほどあったのです。
東京スタイルの高野社長は、「資産には株式や債券も含まれている。これらは持合で、お互いに売らないと決めたものだ」なんていってますけど、そんなあほな。
現金資産を処分すれば、株式の時価総額を越えるのですから、東京スタイルは「株式市場で資金を調達する必要のなくなった企業」であり、それすなわち「上場している必要なし!」っつーことです。

自社の株価が総資産より低ければ、自社株買いが有効です。
資金効率が上がるから。
でも、この企業の場合はもっと特殊で、もっと極端に株を回収して、上場廃止していても問題なかったはずなんです。
んで、東京スタイルの経営陣が、株式会社について何も理解していない。
被害者心理のみ暴走しています。

 「なぜ、こんな嵐のようなことが起こるのか」
 「きちんと株主に対し、12円50銭配当で報いてきた」
 「短期的に株主となり、会社の資産を持ち逃げするような行為は株主に対する冒涜だ」

最後のは、高野社長が村上氏に送ったとされる手紙に書かれていた文章ですけど。
短期的かどうかなんて関係ない。株主、それも筆頭株主に対する手紙とは到底思えません。
経営に口を出されるのが嫌だから、上場していない会社っていうのは割とあるんです。
サントリーとか。
上場している=経営に口を出される可能性がある、っていう当然のことをここの経営陣は認識できていません。
2番目のも、明らかにおかしいです。
きちんと株主に対して報いてきたのなら、そんなに現金資産は溜まりません。
しかも、現金資産を溜めてうまく運用しているのならともかく、マイカル債に40億円とかエンロン債とかで大損し、会社の資産を目減りさせています。
「現在は地価が下がり、自前で土地を買って販売店を経営する絶好の機会だ。そのために現金資産を溜め込んできたのだ」みたいなことを高野社長はいってるんですが、はっきりいってそんな事業は土地を買わなくてもできるんです。
土地を抱えて、それが値下がりしたらどう弁解するんだろう?
リスク管理が不徹底なので、こんなことを言ってみた所で所詮付け焼刃的な発想と烙印を押されても、何の反論もできないんです。
いままでの経営方針がおかしかったから、「嵐のようなこと」が起こるのは当たり前なんです。
今まで起きなかったのがおかしかったんです。


一方、村上さんの誤算は、(1)対決姿勢を鮮明にするのが早すぎたこと(2)海外からの委任状の一部が届かなかったこと、でしょうか。
1月に、上記提案を出していました。
決算は2月期なので、1ヶ月以上も前に宣戦布告をしたんです。

その動きに慌てた会社側は、取引先との株式持合いに走りました。
大林組、帝人、伊勢丹、ニチメン・・・など。
これらの企業の持分が増えた分、どこが減ったかというと、持ち合いを放出した旧三和銀(現UFJ銀)と、ファンド側に追従するのが確実視されていた海外の投資家。
海外の投資家は、買い意欲が高まり同社の株価が値上がりしたのを受け、手放したようです。
その結果、2:8ぐらいだった議決権は、会社側4割、ファンド側4割となり、無党派層もとい中立層は、12%を保有する信託銀と、8%をもつ個人に委ねられました。
村上氏は、「信託は棄権すると思っていた」「これらの半数を押さえれば勝てる」といっていましたが、結局個人株主も、反対のほうが多かったようです。
1年だけ株主になった人間にもっていかれるのは癪だ――――みたいに思ったのかな?真相はわかりません。
外国人株主の委任状の一部が総会に間に合わなかったこともあり、会社側提案はすべて可決、村上側提案はすべて否決されました。

各地で、「5年に分けて100円配を継続する―――ならおそらく可決されていた」といわれていますが、果たして、どうなんでしょう?
個人的には、村上さんの戦略が甘かったのでは?と思います。
この文明社会に、外交官がパーティーで酔いつぶれるわけじゃあるまいし。1ヶ月も前に宣戦布告する必要なんてないのに。
議決権が確定してから、いきなり株主提案をぶちあげれば、対抗しようもないのに。
あと、海外の票さえきっちり到着手配していれば、間違いなくM&A側が勝てたろうに・・・
中途半端で攻め切れなかった感じがします。

それにしても、この持合解消のご時世に持ち合いを進めて行くなんて戦略は、明らかに時代に逆行していますよね。
法で、配当に関する規制でも設ければいいのに。
該当年度の1株あたりの利益あるいは昨年度の配当金を越える配当を行うことを認可制にするか、不許可にすればいいのに。

もし、この株主提案が認可されていたら、同様のファンドが次々とできて、経済がおかしな方向に向かうとこでしたね。
そういう意味では良かったんでしょう。
あと、経営方針が不明瞭な会社っていうのは東京スタイルに限らず、何社も見受けられます。
こうした企業は、よくこの事例を学んで、資本主義・市場原理にのっとった会社運営をしてもらいたいものです。
腐りきっていた超内向的企業、東京スタイルですら、記念配込み20円配当と社外取締役2人、さらに自社株買いを敢行し、株主利益に動き始めたのですから。。。。
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